【国・チーム概要】
人口:約3690万人 国土面積:約446,500平方キロメートル 首都:ラバト 公用語:アラビア語、ベルベル語、フランス語
モロッコはアフリカ大陸の北西端に位置し、西が大西洋、北が地中海に面し、北はジブラルタル海峡をはさんでスペインと向かい合っています 東から南にかけてはアルジェリア接しています
国土は日本の約1.2倍で、北部や海岸沿いは夏は高温乾燥、冬は温暖湿潤な地中海性気候です
一方、内陸部や南部は、砂漠気候で、特に夏は非常に暑くなります
モロッコは、アラブ、アフリカ、ヨーロッパという異なる文化圏を結ぶ地理的に重要な位置にあり、「西の果て」(アラビア語でマグレブ)と呼ばれています
モロッコのサッカー人気は非常に高く、ナショナルチームは「アトラスのライオン」(أسود الأطلس: Asoud Al-Atlas)と呼ばれ、国民的な誇りの象徴です
2022年のFIFAワールドカップ(カタール大会)では、アフリカ勢として史上初のベスト4に進出するという歴史的な偉業を成し遂げました この快挙は、モロッコ国内だけでなく、アラブ圏やアフリカ全土に大きな歓喜をもたらしました国内リーグ(ボトラ)も盛んで、ラジャ・カサブランカやウィダード・カサブランカなどの強豪クラブが存在し、アフリカチャンピオンズリーグでも活躍しています
モロッコは中長距離走の強豪国として世界的に有名で、ヒシャム・エルゲルージ(Hicham El Guerrouj、男子1500mや5000mの世界記録保持者でオリンピック金メダリスト)のような伝説的な選手を輩出しており、国民的な英雄とされています
ワールドカップへは今回含め3大会連続7回目の出場となります
FIFAランキング:11位(2025/11/19付) 12位(2025/10/17付)

【アフリカ予選】
アフリカ予選では、グループEに属し、8戦全勝の無傷で通過し、本大会出場権を獲得しました
| 順位 | チーム | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 勝点 |
| 1 | モロッコ | 8 | 0 | 0 | 22 | 2 | 24 |
| 2 | ニジェール | 5 | 0 | 3 | 11 | 10 | 15 |
| 3 | タンザニア | 3 | 1 | 4 | 6 | 7 | 10 |
| 4 | ザンビア | 3 | 0 | 5 | 10 | 10 | 9 |
| 5 | コンゴ共和国 | 0 | 1 | 7 | 4 | 24 | 1 |
| 6 | エリトリア | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 辞退 |
| MAR | NER | TZA | ZMB | COG | ERI | |
| モロッコ | - | 2-1 5-0 | 2-0 2-0 | 2-1 2-0 | 6-0 1-0 | 中止 |
| ニジェール | 1-2 0-5 | - | 0-1 1-0 | 2-1 1-0 | 3-0 3-1 | 中止 |
| タンザニア | 0-2 0-2 | 1-0 0-1 | - | 1-0 0-1 | 3-0 1-1 | 中止 |
| ザンビア | 1-2 0-2 | 1-2 0-1 | 0-1 1-0 | - | 4-2 3-0 | 中止 |
| コンゴ | 0-6 0-1 | 0-3 1-3 | 0-3 1-1 | 2-4 0-3 | - | 中止 |
| リエトリア | 中止 | 中止 | 中止 | 中止 | 中止 | - |
【主力選手】
現在のモロッコ代表チームの主力選手は、主にヨーロッパのビッグクラブで活躍している選手が多く、非常に強力な布陣です
アクラフ・ハキミ Achraf Hakimi (フランス:パリ・サンジェルマン) DF 1998/11/4生 181/
世界トップクラスの攻撃的右サイドバック 圧倒的なスピードと運動量、決定力を誇るチームの攻撃の起点
ソフィアン・アムラバト Sofyan Amrabat (スペイン:レアル・ベティス) MF 1996/8/21生 183/82
守備的ミッドフィールダーとして、並外れたフィジカルとスタミナで中盤を制圧する、チームの心臓
アゼディン・ウナヒ Azzedine Ounahi (ギリシャ:パナシナイコス) MF 2000/4/19生 182/62
高いテクニックと卓越したドリブルスキルを持ち、中盤で攻撃のリズムを作り出す司令塔
ヤシン・ブヌ Yassine Bounou (サウジアラビア:アル・ヒラル) GK 1991/4/5生 190/78
愛称は「ボノ」 驚異的な反射神経と冷静な判断力を持つ守護神 PK戦での強さも有名
ユセフ・エン・ネシリ Youssef En-Nesyri (トルコ:フェネルバフチェ) FW 1997/6/1生 188/73
大型ストライカー 高い打点のヘディングと決定力が武器で、チームの得点源
ブラヒム・ディアス Brahim Díaz (スペイン:レアル・マドリード) FW 1999/8/3生 171/68
スペイン代表としてもプレー経験がありましたが、モロッコ代表を選択し、攻撃の新たな軸として期待されています
ナイフ・アゲルド Nayef Aguerd (スペイン:レアル・ソシエダ) DF 1996/3/30生 190/76
堅実なセンターバック
ヌサイル・マズラウィ Noussair Mazraoui (イングランド:マンチェスターU) DF 1997/11/14生 183/78
両サイドバックをこなすユーティリティな選手
ロマン・サイス Romain Saïss 所属先不明 DF 1990/3/26生 190/76
チームの精神的支柱でもあるベテランセンターバック
【チーム特徴・注目度・展望】
モロッコ代表の躍進を支えた最大の要因は、強固な守備組織と献身的なハードワーク、そしてサイド攻撃の破壊力です
基本的にはハーフでの守備をベースとし、相手を自陣に引き込んでからボールを奪い取る堅守速攻のスタイルです
選手全員が献身的に走り、ボールホルダーにプレスをかける選手(チャレンジ)の空けたスペースを別の選手が即座に埋める(カバー)という動きが極めて高精度で徹底されています
MFアムラバトがアンカーとして驚異的なスタミナとフィジカルで中盤を制圧し、守備の要となっています
またGKヤシン・ブヌの存在が大きく、彼の安定感とPK戦での勝負強さはチームに絶大な安心感を与えます
DFハキミは右サイドからの攻撃で、スピード、突破力、決定力を兼ね備えた世界屈指の武器です
MFウナヒなど、中盤や前線の選手は狭い局面でもドリブルでボールを運び、相手のプレスを回避できる高い個人技を持っています これにより、ボールを奪った瞬間に素早く前進できます
守備戦術として相手にボールを持たせることを許容していますが、相手が引いて守り、モロッコが主導権を握って攻める展開になった場合、攻撃の組み立てが単調になり、決定機を作り出すのに苦労する場面が見られます
サイド攻撃の破壊力が高い反面、中央をこじ開けるパスワークや崩しのパターンがまだ少ないとされています
カウンター攻撃において、スピードを生かしたFWネシリにかかる負担が大きく、彼のコンディションや決定力がチーム全体の攻撃力に直結しやすい傾向があります
モロッコのサッカー協会は、代表チームの活躍をきっかけに、若手育成やインフラ整備に力を入れています
U-20代表チームは2025年の大会では、決勝でアルゼンチンを2-0で破り初優勝しています モロッコサッカー全体の底上げという大きな目標にも繋がっています
U-20に引き続き、A代表も優勝を狙って大会に臨むことになります
【備考】
2030年のFIFAワールドカップは、サッカー史上初の3大陸6カ国にまたがる、非常に特別な大会となることが決定しています
本大会の主要な試合が行われるのは、以下の3カ国共同開催となります
スペイン、ポルトガル、モロッコ
史上初めてアフリカとヨーロッパの2大陸をまたぐワールドカップとなります
2030年は、1930年に第1回大会が開催されてから100周年にあたる記念大会です
これを祝して、以下の南米3カ国で開幕戦を含む特別な3試合が開催されます
ウルグアイ:第1回大会の開催国であり、優勝国 最初の試合が行われる予定です
アルゼンチン:第1回大会の準優勝国
パラグアイ:南米サッカー連盟(CONMEBOL)の本部所在地
これにより、大会はヨーロッパ、アフリカ、南米の3つの大陸で開催されることになります
出場チーム数: 2026年大会に引き続き、48カ国が出場します
主要な開催国であるスペイン、ポルトガル、モロッコは予選が免除され、本大会への出場権が与えられます
記念試合を開催するウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイの3カ国も、予選が免除され本大会への出場権が与えられる見込みです