【国・チーム概要】
人口:約3480万人 国土面積:約2,149,600平方キロメートル 首都:リヤド 公用語:アラビア語
サウジアラビアはアラビア半島の約80%を占める、中東で最大級の面積(日本の約5.7倍)を誇る国です
アジア大陸の南西端に位置し、西は紅海、東はペルシャ湾(アラビア湾)という2つの重要な海域に面しています
北側はヨルダン、イラク、クウェート、東側はカタール、アラブ首長国連邦(UAE)、南側はイエメン、オマーンと接しています 西側は紅海をはさんで、対岸はエジプトやスーダンなどのアフリカ大陸と面しています
サウジアラビアの地形は、全体的に「西に山、東に平地」という構造になっています
山脈の東側には「ナジド高原」と呼ばれる広大な高原が広がっており、首都リヤド(標高約600m)もこのエリアに位置します
東部のペルシャ湾沿いは平坦な地形で、世界有数の石油埋蔵量を誇る油田地帯が集中しています
大部分が砂漠気候で、年間を通じて非常に乾燥しています
夏(6〜9月)は、内陸部では日中の気温が45℃〜50℃に達することもあります
冬(12〜2月)は、比較的過ごしやすいですが、内陸部や北部では夜間に氷点下近くまで下がることもあります
サウジアラビアには「川(常に水が流れている川)」が一本もありません
その代わり、雨が降った時だけ水が流れる「ワジ(枯れ川)」が各地に点在しています
サウジアラビアにおいて、サッカーは単なる「人気のスポーツ」という枠を超え、「国家の威信」と「社会変革の象徴」という極めて重要な位置づけにあります
サウジアラビアは現在、石油依存からの脱却を目指す国家改革案「サウジ・ビジョン2030」を推進しています
サッカーはこの戦略の「目玉」の一つです
国内リーグ(サウジ・プロリーグ)を「世界トップ10」に入れるという明確な目標を掲げています
クリスティアーノ・ロナウドやネイマールといった世界的なスターを招くことで、「閉鎖的な宗教国家」というイメージを塗り替え、開放的でエネルギッシュな国であることを世界にアピールしています
2034年のFIFAワールドカップ開催が決定しており、大会の成功に向けてインフラ整備やリーグ強化に国を挙げて取り組んでいます
国民の約7割が35歳以下という若い国において、サッカーは共通の言語であり、最大の娯楽です
2022年W杯でアルゼンチンに勝利した翌日が、国王の判断で急遽「国民の祝日」になったことからも、その重要性が分かります
かつて女性のスポーツ観戦は禁止されていましたが、2018年に解禁され、現在では女子サッカーリーグも創設されるなど、サッカーを通じて「女性の社会進出」や「近代化」が進んでいる側面もあります
ワールドカップへは今回含め3大会連続7回目の出場となります
FIFAランキング:60位(2025/11/19付) 58位(2025/10/17付)

【アジア予選】
アジア3次予選(グループ2位以内で本大会出場)では、グループCに属し、日本、オーストラリアに続く3位となり、ここでの本大会出場は果たせませんでしたが、4次予選(グループ内1位で本大会出場)グループBにて、イラク、インドネシアを相手に1位になり本大会出場を果たしました
| 3次予選 順位 | チーム | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 勝点 |
| 1 | 日本 | 7 | 2 | 1 | 30 | 3 | 23 |
| 2 | オーストラリア | 5 | 4 | 1 | 16 | 7 | 19 |
| 3 | サウジアラビア | 3 | 4 | 3 | 7 | 8 | 13 |
| 4 | インドネシア | 3 | 3 | 4 | 9 | 20 | 12 |
| 5 | 中国 | 3 | 0 | 7 | 7 | 20 | 6 |
| 6 | バーレーン | 1 | 3 | 6 | 5 | 16 | 6 |
| 3次予選対戦成績 | JPN | AUS | SAU | IDN | CHN | BHR |
| 日本 | - | 1-1 0-1 | 2-0 0-0 | 4-0 6-0 | 7-0 3-1 | 5-0 2-0 |
| オーストラリア | 1-1 1-0 | - | 0-0 2-1 | 0-0 5-1 | 3-1 2-0 | 0-1 2-2 |
| サウジアラビア | 0-2 0-0 | 0-0 1-2 | - | 1-1 0-2 | 2-1 1-0 | 0-0 2-0 |
| インドネシア | 0-4 0-6 | 0-0 1-5 | 1-1 2-0 | - | 1-2 1-0 | 2-2 1-0 |
| 中国 | 0-7 1-3 | 1-3 0-2 | 1-2 0-1 | 2-1 0-1 | - | 1-0 1-0 |
| バーレーン | 0-5 0-2 | 1-0 2-2 | 0-0 0-2 | 2-2 0-1 | 0-1 0-1 | - |
| 4次予選順位 | チーム | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 勝点 |
| 1 | サウジアラビア | 1 | 1 | 0 | 3 | 2 | 4 |
| 2 | イラク | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 4 |
| 3 | インドネシア | 0 | 0 | 2 | 2 | 4 | 0 |
| 4次予選対戦成績 | SAU | IRQ | IDN |
| サウジアラビア | - | 0-0 | 3-2 |
| イラク | 0-0 | - | 1-0 |
| インドネシア | 2-3 | 0-1 | - |
【主力選手】
サッカー男子サウジアラビア代表(通称:グリーン・ファルコンズ)選手の多くは、国内リーグに所属している
サーレム・アッ・ドーサリー Salem Al-Dawsari (サウジアラビア:アル・ヒラル) MF 1991/8/19生 171/
アジア屈指のアタッカーであり、サウジアラビアの絶対的エース
2022年カタールW杯のアルゼンチン戦で決勝ゴールを決めたことでも有名
高い技術と決定力を持ち、キャプテンとしてチームを牽引します
フィラス・アル・ブライカン Firas Al-Buraikan (サウジアラビア:アル・アハリ) FW 2000/5/14生 181/79
現在のサウジアラビアで最も勢いのある若手ストライカー ポジショニングに優れ、勝負強さが持ち味
サレハ・アル・シェフリ Saleh Al-Shehri (サウジアラビア:アル・イテハド) FW 1993/11/1生 184/77
経験豊富なセンターフォワード 長身を活かしたポストプレーや空中戦に強く、大事な場面でゴールを奪う能力に長けています
モハメド・カンノ Mohamed Kanno (サウジアラビア:アル・ヒラル) MF 1994/9/22生 192/
190cmを超える長身ながら足元の技術も高く、攻守にわたって圧倒的な存在感を放ちます 中盤のダイナモとして、ボール奪取から攻撃への繋ぎまでこなします
ムサブ・アル・ジュワイル Musab Al-Juwayr (サウジアラビア:アル・カーディシーヤ) MF 2003/6/20生 175/70
期待の若手プレーメイカー プレースキックの精度が高く、次世代の司令塔として注目されています
サウード・アブドゥルハミド Saud Abdulhamid (フランス:RCランス) DF 1999/7/18生 171/
サウジアラビア人選手として希少な欧州5大リーグ所属選手 非常に攻撃的な右サイドバックで、スピードとスタミナ、クロス精度を兼ね備えています
ハッサン・タムバクティ Hassan Tambakti (サウジアラビア:アル・ヒラル) DF 1999/2/9生 182/74
身体能力が高く、対人守備に強いセンターバック 現在の守備陣において欠かせない中心選手です
アハメド・アル・カサール Ahmed Al-Kassar (サウジアラビア:アル・カーディシーヤ) GK 1991/5/8生 179/77
近年の代表戦で正守護神を務めることが多いゴールキーパー 安定したセービングで最後線を支えます
【チーム特徴・注目度・展望】
ジェッダなどのホームスタジアムでは、6万人を超える大観衆が作り出す熱狂的な雰囲気(通称「グリーン・ヘル」)を味方につけ、格上の相手をも飲み込む爆発力を発揮します
ルナール監督の代名詞でもある、最終ラインを高く保ち、前線から激しくプレスをかける攻撃的な守備が特徴です
これにより相手の自由を奪い、ショートカウンターに繋げます
サウジ・プロリーグにクリスティアーノ・ロナウド等の世界的スターが加入したことで、日常的に高いレベルでプレーする国内組の守備対応力や判断スピードが飛躍的に向上しています
モハメド・カンノのフィジカルと、ムサブ・アル・ジュワイルのような若手の技術が融合し、中盤でボールを保持しながら試合をコントロールする能力に長けています
試合の流れが良い時は手が付けられませんが、一度失点したり判定に不満を持ったりすると、急激に組織が乱れ、連続失点を喫するメンタル面の脆さが時折見られます
ラインを高く設定するため、日本代表の三笘薫や伊東純也のような「裏へ抜けるスピードのある選手」に対して非常に脆弱です 一度プレスを剥がされると、一気にピンチを招く傾向があります
サウジ・アブドゥルハミド(ASローマ)などの例外を除き、ほとんどの選手が国内リーグ所属です
そのため、欧州の異なる戦術や気候、アウェイでの厳しい環境に対する適応力に課題が出ることがあります
中盤までは完璧に運べても、最終的な「仕留める」局面でエース(サーレム・アル・ドサリなど)に頼りすぎる傾向があります 強力なセンターフォワードの育成が長年の課題です
全大会ではいきなり初戦でアルゼンチンを破る大金星もポーランド、メキシコに敗れグループリーグ突破はならず
今大会では、グループリーグ突破を目指すが、予選を通じて今一つ強さが感じらず、厳しい戦いになりそうである
【備考】
2025年12月12月15日、カタールで開催されているFIFAアラブカップの準決勝で、アジアの強豪サウジアラビアがヨルダンと対戦 66分に痛恨の決勝ゴールを献上し、0-1で敗れて決勝進出を逃した
ポゼッションでは圧倒したもの、枠内シュートは相手の5本に対して1本に終わるなど、不完全燃焼に終わったチームに、母国のファンは落胆しているようだ
同国サッカー連盟の公式SNSには、以下のようなコメントが溢れた
「ひどすぎる」
「退屈で眠かった。誰も何もできなかった」
「ひどいスタメンだった」
「このサッカーではW杯に行く資格がない」
「負けるべくして負けた」
「こんなのはフットボールじゃない」
「恥を知れ」
「失望させられた」
「悲しい。再建しなければ」
「大惨事だ」
成長著しいヨルダンが相手とはいえ、来夏の北中米ワールドカップに向けて、不安を残す結果となった