【国・チーム概要】
人口:約9150万人 国土面積:約164,800平方キロメートル 首都:テヘラン 公用語:ペルシア語
アジア大陸の南西部、いわゆる中東(西アジア)に位置する国 
歴史的に重要な交易ルートが交差する、地政学的にも非常に重要な場所にあります
北: アルメニア、アゼルバイジャン、トルクメニスタンと国境を接し、カスピ海に面しています
東: アフガニスタン、パキスタンと国境を接しています
西: イラク、トルコと国境を接しています
南: ペルシア湾とオマーン湾に面しており、特にペルシア湾を挟んでクウェート、サウジアラビア、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦と対しています
また、ホルムズ海峡という重要な海上交通の要衝を擁しています
乾燥した高原と山脈が中心ですが、カスピ海沿岸の緑豊かな地域、ペルシア湾沿岸の暖かい地域など、多様な自然環境を持っています
国土面積は、日本の約4.4倍という広大な面積を持ちます

イランで盛んなスポーツは、レスリングとサッカーです
レスリングは、イランの「国技」とされ、長い歴史と伝統を持つ非常に重要なスポーツです
レスリングは単なるスポーツではなく、ペルシア語で「力の家」を意味する伝統的な武術の道場「ズールハーネ」とも深く結びついています これは、勇敢さや敬意といった文化的・精神的な概念と結びついています
オリンピックでイランが獲得したメダルのうち、過半数がレスリング競技によるものです
イランで最も人気があり、熱狂的なファンを持つのはサッカーです
老若男女問わず広く親しまれており、子供たちが学校や街角で楽しむ最も一般的なスポーツです
国内には「ペルシアン・ガルフ・プロリーグ」というプロリーグがあり、地元チームへの応援は非常に熱狂的です
イラン代表チームはアジア屈指の強豪として知られており、FIFAワールドカップにも6回出場していますが、いずれもグループリーグで敗退しています

ワールドカップへは今回含め4大会連続7回目の出場となります

FIFAランキング:20位(2025/11/19付) 21位(2025/10/17付)

【アジア予選】
アジア予選では、グループAに属し、7勝2分1敗でグループをトップ通過し、本大会出場権を獲得しました

順位チーム得点失点勝点
イラン72119823
ウズベキスタン63114721
アラブ首長国連邦43315815
カタール415172413
キルギス22612188
6北朝鮮0379213
IRNUZBAREQATKGZPRK
イラン0-0
2-2
1-0
2-0
4-1
0-1
1-0
3-2
3-2
3-0
ウズベキスタン0-0
2-2
1-0
0-0
2-3
3-0
3-2
1-0
1-0
1-0
アラブ首長国連邦0-1
0-2
0-1
0-0
3-1
5-0
3-0
1-1
1-1
2-1
カタール1-4
1-0
3-2
0-3
1-3
0-5
3-1
1-3
2-2
5-1
キルギス0-1
2-3
2-3
0-1
0-3
1-1
1-3
3-1
1-0
2-2
北朝鮮2-3
0-3
0-1
0-1
1-1
1-2
2-2
1-5
0-1
2-2

【主力選手】
イラン代表は、主にヨーロッパのトップリーグで実績を持つ強力なフォワード陣を擁しているのが最大の強みです
メフディ・タレミ Mehdi Taremi (ギリシャ:オリンピアコス) FW 1992/7/18生 185/80
 絶対的エース 高い得点感覚と裏への抜け出し、冷静な決定力を兼備 技術も高く、万能型ストライカー
サルダル・アズムン Sardar Azmoun (UAE:アル・アハリ・ドバイ) FW 1995/1/1生 187/80
 瞬間的なスピード、柔軟なテクニック、アクロバティックなシュートが持ち味 タレミとの連携が強力
アリレザ・ジャハンバフシュ Alireza Jahanbakhsh (ベルギー:FCVデンデルEH) MF 1993/8/11生 180/76
 チームキャプテンを務める精神的支柱 突破力と強烈なミドルシュートを持ち、チャンスメイクも得意
サイード・エザトラヒ Saeid Ezatolahi (UAE:アル・アハリ) MF 1996/10/1生 190/82
 長身でフィジカルが強く、守備のフィルター役としてボール奪取に貢献 正確なパスで攻撃の起点となる
サマン・ゴッドス Saman Ghoddos (UAE:カルバFC) FW 1993/9/6生 177/79
 豊富な運動量と高い技術を持つミッドフィールダー 攻撃的なポジションから中盤までこなすユーティリティ
アリレザ・ベイランヴァンド Alireza Beiranvand (イラン:ペルセポリス) GK 1992/9/21生 194/85
 チームの守護神 長身と驚異的な反射神経でビッグセーブを連発 カウンター攻撃の起点にもなる


チーム特徴・注目度・展望】
イラン代表は、アジアの中でフィジカルと個人のタレントに強く依存した、粘り強い戦術を敷く傾向があります
選手個々の身体能力が高く、球際の競り合いや空中戦といったデュエル(決闘)の強度はアジアトップクラスです
基本的には堅い守備ブロックを敷き、前線の個の能力を活かしたカウンターアタックやセットプレーで得点を狙うスタイルが基本です
タレミは得点感覚に優れ、アズムンはスピードとテクニックでチャンスを作ることができ、個人の力で試合を決定づける能力があります
DF陣、特にベテラン選手たちはロングボールを跳ね返す高さと強さ、そして危険なスペースを潰す対人守備に長けており、簡単にはゴールを割らせない堅固さを持っています
代表キャップ数が多く、平均年齢が高めのベテラン選手が多いため(特にディフェンスライン)、国際舞台での経験値が豊富で、大きな大会でも動じない安定した戦い方をすることができます
経験豊富なベテランが多い反面、ディフェンスラインはスピード対応に課題を抱えています
相手の速いカウンターアタックや、ワンタッチパスなどによる背後へのスルーパスに対して、あっさり対応が遅れて失点する場面が見られることがあります
最終ラインから中盤を経由して、ボールを細かく繋いでいく組織的な組み立て(ビルドアップ)に課題があり、前線は強力であるものの、そこにボールを安定して運ぶプロセスが確立されておらず、結果的にロングボール頼みになりやすい傾向があります
相手に自陣でハイプレスを仕掛けられると、パスコースを失ってボールロストを招き、自陣に押し込まれてしまうことがあります
主要な選手にベテランが多く、チームの平均年齢がアジアの強豪国の中でも高めです
トーナメントの連戦や、試合終盤の運動量やスプリント回数の面で、若くフレッシュなチームに劣る可能性があります
過去6回の出場では、グループリーグを突破したことがありません
今大会では、グループ分けではポット2に入り、現実的にグループリーグ突破が見えている状況です
国民の期待も大きく、アジアの有力代表として是非頑張ってほしいものです

【備考】
ペルシア(ペルシャ)は、現在のイランを指すヨーロッパ側の古い呼び名であり、イランは、その国の人々が自国を呼ぶ際の正式な名称です
イランとペルシアは基本的に同じ地域と文化圏を指していますが、「イラン」は公的な国名を、「ペルシア」は古代からの歴史や文化的な背景をより強く含んだ呼び方です
ペルシヤは、ギリシャ語に由来し、古代ペルシア帝国が興ったイラン南西部の「パールサ(ファールス)」地方にちなんでいます このため、ヨーロッパや日本では長い間「ペルシア」という名前が使われてきました
イランは、ペルシア語で「アーリア人の国」を意味する「アーリアーナム」(Āryānām)に由来しており、「高貴な人々の国」という民族的な誇りを込めた言葉です
国際的に使われる国名が「ペルシア」から「イラン」に変わったのは、20世紀になってからのことです
1935年に民族的なナショナリズムの高まりを受け、古代からの自国での呼び名である「イラン」を正式な国際名称として使うよう、各国に要請しました これは、古代ペルシアの栄光を再評価し、近代国家として国際社会にアピールする意図がありました
現代においては、以下のように使い分けられるのが一般的です
イランは、現在の国名(イラン・イスラーム共和国)として使われます 政治、経済、現代史、地理などの文脈で使われます 
ペルシアは、歴史・文化的な文脈で使われます 古代の帝国名や、ペルシア語、ペルシア絨毯、ペルシア料理など、文化的遺産や伝統を指す際に好んで使われます